東京ブラスコンコード第17回演奏会
日時 2001年1月28日(日)14:00開演
場所 石橋メモリアルホール(東京・上野)
指揮 井上 謹次
プログラム

コサック(W. Rimmer)
過ぎにし春(E. Grieg / arr. P. Ryan)
「ピータールー」 序曲(M. Arnold / arr. A. Duncan)
セレナーデ(J. Heykens / arr. G. Mackenzie)
バスの主題によるディヴァージョン(G. Lloyd)
スリップストリーム(P. Sparke)
ポストホルン・ギャロップ(G. Koenig)
ハンガリー舞曲 第1, 5番(J. Brahms / arr. A. Winter)
サルスエラ「ルイス・アロンソの結婚」〜間奏曲(J. Gimenez)

入場料 1,200円(小・中学生1,000円)

曲目の解説


●コサック

リマーは、19世紀末から今世紀初頭にかけての金管バンド創生期に活躍した作曲家・編曲者・指揮者で、「パンチネロ」等の行進曲や「マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム」等のソロ曲が有名です。
「コサック」もよく演奏される行進曲で、ロシアのコサック騎兵を描写した曲です。


●過ぎにし春

組曲「ペール・ギュント」で知られるノルウェーの作曲家グリーグの、愛すべき小品。
元はノルウェーの詩人ヴィンイェの詩に作曲した歌曲ですが、作曲者自ら管弦楽に編曲し、もうひとつの「胸の痛手」という曲と共に「二つの悲しき旋律」という作品にまとめられています。
日本語のタイトルは「過ぎにし春」とか「晩春」とかつけられていますが、原詩の内容は春の訪れの喜びを静かに歌い上げたものです。


●「ピータールー」序曲

1815年のナポレオン戦争後、イギリスでは産業革命の矛盾が表面化し、政治改革・議会改革運動が高揚していました。
1819年8月16日、マンチェスターの聖ピーター教会前広場で議会改革を要求する市民集会が開催された際、暴徒化を恐れた市当局が義勇騎兵隊と軽騎兵隊を動員しました。軍は集まった8千人(一説に6万人)の民衆を蹴散らし、11名の死者と400名以上の負傷者を出したのです。イギリスの人々はこの事件を、ナポレオン戦争でのワーテルロー(英語でウォータールー)におけるイギリス軍の勝利をもじって、嘲笑的に<ピータールーの虐殺>と呼びました。
映画「戦場にかける橋」の音楽や「4つのスコットランド舞曲」等で知られるアーノルドは、1967年にこの曲を作曲した際に「この序曲は、音楽的にこれらの出来事を描こうとしているが、殺人と傷害への哀悼の後、人類の統一の為に苦しみ死んだすべての人々の働きは無駄ではないという、勝利の確固たる信念で終わる」と述べています。


●セレナーデ

かつてNHKが募集した『心に残る音楽』というアンケートで、この曲が上位に入っていました。理由は簡単、終戦直後のラジオ番組「出征兵士の時間」のテーマ曲がこの「セレナーデ」だったのです。
人々は、自分の夫や父の帰国情報を伝えてくれる貴重な番組を毎日聞くうち、この曲に心を慰められていたのでしょう。親しみやすいメロディが、聴く者の気持ちを和らげてくれます。
セレナーデ(小夜曲)は、本来恋人の窓辺で愛をささやく曲を意味しますが、後には小規模の器楽合奏も意味するようになりました。


●バスの主題によるディヴァージョン

ロイドは現代イギリスを代表する作曲家の一人で、12の交響曲、3つのオペラ、4つのピアノ協奏曲等を発表しています。
この曲は1986年の炭坑労働者ブラスバンド・チャンピオンシップの課題曲として作曲されました。ロイドは、スコアに次のように記しています。「この作品は変奏曲である。伝統な変奏曲は、その名の通り、与えられた旋律がさまざまな方法で取り扱われる。『バスの主題によるディヴァージョン』のパターンは別の方法を使用した。数々の旋律は、最初の小節でバスによって奏され、作品全体を通じて演奏される旋律から、成長する」。
この曲は聴衆と奏者から圧倒的な好評を持って迎えられ、遂に1998年9月に開催された全英オープン・チャンピオンシップの課題曲に選ばれました。しかし残念ながら、ロイドはその年の7月に、コンクールでの競演を聞くことなく世を去りました。
彼の金管バンドオリジナル作品としては、この曲の他、「イングリシュ・ヘリテージ」等3曲があります。


●スリップストリーム

最近では吹奏楽でも人気のあるイギリスの作曲家スパークによる、金管バンド・オリジナルのコンサート・マーチ。
「スリップストリーム」 とは、「プロペラの後への空気の流れ」や「カーレースで先行車の後方に生じる空気の渦に入ること」を意味しますが、題名の通り、早目のテンポで軽快に演奏されます。


●ハンガリー舞曲 第1, 5番


ブラームスは若い頃からハンガリー・ジプシーの音楽に興味を持ち、少しずつ収集しながら編曲をしていました。これらをまとめて、1869年にピアノ連弾用「ハンガリー舞曲集」第1・2集計10曲を発表したところ大変な評判となり、更に1880年に第3・4集計11曲を発表しました。
他の編成への編曲も当初から盛んでしたが、自らも1番・3番・10番を管弦楽用に編曲しています。後にドボルザークはこの例に習って、「スラブ舞曲」を発表しました。
本日演奏する第1番はジプシー風の流麗で情熱あふれる曲、第5番は誰でも知っている超有名な曲です。


●サルスエラ「ルイス・アロンソの結婚」〜間奏曲


「ルイス・アロンソの結婚」はスペインの作曲家ギメネスによるサルスエラの名作です。サルスエラとはスペイン独特の音楽劇で、歌や踊りがふんだんに取り入れられています。
この間奏曲は劇の幕間で演奏されるものですが、3種のスペイン舞曲を接続したものです。冒頭は3/8拍子、ジプシー風の短音階で情熱的に始まり、中間部では長調に転じてダイナミックな雰囲気となります。更に後半で一転して6/8となり、軽快で快活なメロディが展開されます。
スペインではポピュラーな名曲として、盛んに演奏される曲です。



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