●マーチ「セイフェルティッツ」
R. Achleitner(1864-1909)はオーストリアのザルツブルグ生まれの作曲家で、 ウィーンでバンド指導のかたわら、多くの作品を残しています。代表作には
「チロルの紋章」「セイフェルティッツ」などがあります。ちなみに 「セイフェルティッツ」とは固有名詞です。
●吹奏楽と電子音楽のための「タンジェンツ III」
この曲は、あらかじめ録音されている電子音楽のテープと吹奏楽の組み合わせで できている作品で、指揮者はスコアに記された電子音楽の図形を見て、楽器の
音との組み合わせを確かめながら演奏します。作曲者の H. ジャクソンはテキサス 生まれで、カンサス大学に籍を置き、学説・作曲・電子音楽の分野で活躍しています。
●サルスエラ「ルイス・アロンソの結婚式」より "間奏曲"
スペインの作曲家 H. ヒメネスの一番の傑作といわれたサルスエラの名作の幕間音楽です。 サルスエラとは17世紀半ばにスペイン国王が、離宮「ラ・サルスエラ」で歌芝居を
演じさせたことから誕生した一種の音楽劇です。この曲はスペインではポピュラーな 名曲として演奏されています。
●イエロー サブマリン
アニメーションにもなったビートルズの大ヒット曲をブラスバンドのためにに編曲 したものです。冒頭のラッパに始まり「水兵のホーンパイプ」や「星条旗よ永遠なれ」
がメロディラインの隙間から顔を出したり、「忠誠」のパロディーが堂々と現れるなど マーチ好きがニヤリとするような趣向が随所に凝らしてあります。
●吟遊詩人の少年
吟遊詩人とは、中世ヨーロッパで竪琴を片手に各地の城や貴族の館などを渡り歩いて叙事詩やバラードを歌って聞かせた人々のことです。渡り暮らしをしていたことなどからバードとも呼ばれていました。この曲は有名で美しい曲ですが、歌詞は古くからアングロサクソン族との戦いを続け、ついにはアイルランドへと追い込まれたケルト族の末・
ならではの、愛国の心がうかがえる激しいものです。
●フィドル ファドル
「ラッパ吹きの休日」「シンコペーテッド・クロック」などで知られる、アンダーソン の作品です。フィドルとはバイオリンのことで、とくに民謡や舞曲などを演奏するときに
そう呼ぶようです。ファドルにはとくに意味は無いようで、フィドルとの洒落でつけられた ようです。ただ、「Fad」には「気まぐれ」の意もあるのでそれも含んでいるようです。
タイトルの通り、本来はバイオリンで演奏する曲です。
●リバーダンス
アイルランドの舞曲「リール」独特の崩したリズムをベースに、現代風の変拍子や和声と ロックのリズムを組み込み、民族楽器(フィドル、イーリアンパイプ、ティンパイプ等)
とオーケストラを組み合わせた編成で演奏されます。元来はアイルランドで催された ヨーロッパ民謡歌謡選手権の幕間のために作曲された曲ですが、テレビ中継で圧倒的な
支持を得、「アイルランドの音楽と踊りが川の流れのように世界中に広がり、再び 帰ってくる」という壮大なストーリーに基づいたダンスショーに組み込まれて、
世界各地で大好評のうちに公演が続けられています。今年3月には日本公演がありました。
●踊りあかそう
ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル「マイ・フェア・レディ」の中の1曲です。 1956年3月15日の初演以来、1962年9月27日までの7年間で2717回の続演が行われ、
ブロードウェイミュージカル史上、最高最大のヒット作として知られています。 この曲はその中で主人公ライザが
"The rain in Spain Stays mainly in the plain." と初めてうまく発音できるようになり興奮のあまり歌うという、このミュージカルで
最も美しい曲のひとつです。また、オードリー・ヘップバーン主演で映画化され、 世界的に有名になりました。(ちなみに、オードリー・ヘップバーンの歌は吹き替えですが)
この物語の原作はイギリスの戯曲家バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」です。
●エジプト行進曲
1869年にエジプトにスエズ運河が開通し、これにちなんで作曲されました。シュトラウスII はこのほかにも遊覧鉄道の開通にちなんで「ポルカ・観光列車」を作曲するなど、
時代を反映したり時流のアイデアに乗った作品も得意としていたようです。
●美しき青きドナウ
ワルツ王シュトラウス2世の最も有名でまた傑作といわれるワルツです。しかし、もともとは男性合唱団のために作曲された合唱曲で、ウィーンの初演当時は評判が悪かったようです。
ところが3ヶ月後のパリ万博への演奏旅行の際に、管弦楽用に書き改められたときに大好評となり、ウィーンに逆輸入されました。
●「メキシコの祭り」より
作曲者のリードは約5ヶ月間メキシコに滞在し、クエルナヴァカ(高原の町、保養地)や チャペラ(南の湖の町)など各地を旅行してまわりました。
"メキシカン・フォークソング・シンフォニー" というサブタイトルが示すとおり、 その間に集めた民謡や舞曲がこの曲の各楽章のテーマとして用いられています。
第一楽章のオフステージに用いられている "エルトロ" はメキシコの闘牛場でよく演奏 される曲で、また、同楽章のアズテクダンスはグアダラハラ地方の舞曲です。
第三楽章の中間に現れる "ラ・ネグラ" はバリスコ地方の民謡でマリアッチ音楽としても 有名な曲です。
H.O.リードのプログラムノートより
第一楽章「前奏曲とアズテクダンス」
真夜中に教会の鐘が祭りの開始を告げる。静かな雰囲気は、花火の爆音と教会の中庭に 民衆を集めるファンファーレの高鳴りによって破られる。ティキエラとブルクエの
振舞い酒が眠気を払い、人々を陽気なばか騒ぎに誘う。深山の鐘の響きと花火の音は早朝の眠気を覚まし、 まもなくバンドが遠くで闘牛場の歌
"エルトロ" を演奏しているが聞こえる。そして曲はグアダハラ 地方で色彩豊かな羽飾りをつけ、仮面をかぶった踊り手達によって踊られる「土着民の音楽」
アズテク舞曲の強烈なメロディーへと変わっていく。
第三楽章「カーニバル」
ムードは再び溢れるばかりの叫び声、サーカスの楽隊のファンファーレ、闘牛場のさわぎ、 市場のざわめき、それに町中いたるところから聞こえてくる市民バンドの響きで陽気に沸き返る。
マリアッチ・バンドの演奏するハリスコ地方の "ラ・ネグラ" の泡立つような歌がにぎやかに 聞こえ、陽気で活気に満ちたクライマックスを迎える。